金継ぎを調べたら発見できたもの~広がるアートの世界~

2026年7月14日に放送されたテレビ朝日「グッド!モーニング」の「グッド!いちおし」では、非日常を体験できる大人の習い事が紹介されていました。

番組では実際に、座禅体験・和菓子作り・金継ぎの体験を見ることができました。大人のたしなみとして、最近では体験を希望する20代も増えているそうです。

この記事では、「海外で通じる日本語」にも含まれる、「金継ぎ」について詳しく紹介します。近年では、国内外で高く評価されている金継ぎですが、読み方も知らない、という人もいるのではないでしょうか。実は私も、聞いたことがあるという程度で、しっかりと認識し始めたのは最近のことです。そのような金継ぎ初心者に向けてわかりやすくまとめました。

金継ぎとは?修復することで心も直す

金継ぎ(きんつぎ)とは、割れた陶磁器を天然の漆(うるし)でつなぎ合わせ、その継ぎ目に金粉などを塗って美しく仕上げる日本の伝統的な修復技法です。接着剤として使われる漆は、空気中の水分と反応しながら少しずつ固まるため、修復には数週間から数か月かかることもあります。銀を塗れば「銀継ぎ」と言います。

金継ぎの魅力は、壊れた跡を隠すのではなく、その傷を新たな美しさとして生かす考え方にあります。金や銀で彩られた継ぎ目は、まるでアート作品のようです。物を長く大切に使い続ける精神や、不完全さの中に価値を見いだす考え方があることも、金継ぎが多くの人を魅了する理由の一つです。

私は、金継ぎを知った当初は、日本のもったいない精神からくるもので、物を大切にする心に重点を置いているのかなと思いました。しかし実際は、それに加えてもっと奥深いものでした。

テレビ番組で金継ぎ師が言っていた、「金継ぎは単に器を直すだけではなく心を直すこともできる」という言葉が印象的でした。

金継ぎは日本発祥か?

結論から言うと、日本発祥の技法です。

歴史的背景: 15~16世紀くらいに、茶の湯の発展とともに確立されたと言われており、漆を使った修復技法は縄文時代から使用されているそうです。

中国との違い: 中国にも器を修復する文化があり、その方法は鎹(かすがい)という金物(コの字型の釘)で留める技法です。この修復方法は無形文化遺産に指定されているようです。

独自の美意識: 傷をあえて金で強調し、アート作品のように芸術的な価値を高めるという方法は、わびさび(侘・寂)の精神から生まれた、日本独自の文化です。

近年、金継ぎはいつから人気になってきたのか?

調べてみると、金継ぎブームは2010年代から徐々に広がり、2020年のコロナ禍で決定的なものになったと言えます。

・2011年の東日本大震災によって思い出の器を失った人々に対し、金継ぎボランティアなどの活動が行われました。

・2010年代後半〜(サステナブルの意識へ): 大量生産・使い捨てへの疑問や、SDGsへの関心の高まりから、「ものを長く大切に使う」ライフスタイルが注目され始めました。

・2015年アメリカのロックバンドDeath Cab for Cutieのアルバム「Kintsugi」が発売されました。

・2018年、2019年には金継ぎの哲学に関する本が海外で出版されました。

・2020年〜(コロナ禍のすごもり需要): 外出自粛期間中、自宅でじっくり取り組める趣味として、自宅用の金継ぎキットやオンラインレッスンが大ヒットしました。

・2024年にイギリスのオックスフォード英語辞典に「kintsugi」という単語が追加されました。

こうして見ると、コロナ前にはすでに海外で金継ぎの哲学が広まっていたことがわかります。私も含め、金継ぎキットの人気にも気付かず過ごしてきた人たちにとって、いつの間にか世界的にブームになっていたのです。私がはじめて金継ぎを知ったのは2023年頃に放送されたテレビ番組を見てからです。金継ぎが好きな外国人が日本にきて、修復方法を金継ぎ職人から教わり、金継ぎの魅力を情熱的に語っていたことが印象的でした。

金継ぎはなぜ海外で人気なのか?

海外では「Kintsugi」という言葉がそのまま通用するほど、高い注目を集めています。理由は大きく3つあります。

・サステナブル(持続可能性)への共感: 修復して使い続ける姿勢が、世界的な環境意識のトレンドと完全に合致しました。

・メンタルケア・マインドフルネスとの結びつき: 海外では、金継ぎが「心の傷を癒やすプロセス」の比喩として用いられており、Kintsugi mind(金継ぎマインド)やKintsugi Method(金継ぎメソッド)という概念が取り入れられています。

・唯一無二のアート性: 金色の線が入った器は、SNSでかなり写真映えします。海外では「Japanese Kintsugi」、「Kintsugi Art」(金継ぎアート)という投稿が非常に人気です。海外では「アート作品」として見られることが多く、ビジュアルの美しさが評価されています。

近年は、金継ぎの「傷を受け入れ、新たな価値へと変える」という考え方が心理学やアートセラピーの分野で注目され、自己理解を目的としたワークショップに取り入れられる例が増えています。

欧米の金継ぎワークショップを調べてみた

実際に行われた金継ぎのワークショップをウェブサイトで確認することができました。

シカゴの美術館(International Museum of Surgical Science)
ジョージタウン大学
ケンブリッジ大学博物館
ロンドン大学
韓国の美術館(Sehwa Museum of Art)
インドのBombay Timesによる開催

これらのワークショップを見ると、「心を見つめ直す時間」、「金継ぎアート」として捉える傾向があります。金継ぎは単なる器の修復技法ではなく、心を整えるアートとしても注目されています。

ケンブリッジ大学博物館のホームページに記載されている”the moment of breakage can be a moment of beginning”(破損した瞬間は、新しい始まりでもある)という表現が印象的でした。まさに、傷跡を新たな美として受け入れるという考え方ですね。

金継ぎは世界中で一人歩きしている!?

海外での金継ぎブームを調べていくと、多様な解釈で独自に発展していると感じました。本来の漆を使った金継ぎのワークショップもありますが、その場合は哲学・芸術も学ぶ内容になっています。ほとんどは手軽に直す「簡易金継ぎ」が広がっていてアート分野で発展していることがわかりました。以下のようなジャンルに応用されています。

ネイル:日本でもたまに見かけます。爪が欠けても直せるというメッセージが込められています。

タトゥー:#kintsugiartで検索してみても、金継ぎデザインのタトゥーをたくさん見かけます。

ジュエリー(ネックレス・ペンダント・指輪・イヤリングなど):単に金継ぎがデザインされていたり、天然石のひび割れをあえて金で強調したりしています。

ファッション・衣類:傷んだ衣類を目立つ形で繕ったり、破れたデニムをあえて修復跡が見えるようにアップサイクルされています。ここにも、”美しい芸術作品を生み出す”という表現が使用されています。

インテリア・建築:「Kintsugi-inspired Design」で検索すると、金継ぎがデザインされているインテリアや家具などがたくさんあります。建築物の修復プロジェクトにも大きな影響を与えているようです。

共通しているのは「本来は割れ物」に施す金継ぎが、割れていないもの(爪・肌・生地・石)にもデザインとして応用されている点です。つまり海外では「Kintsugi」という言葉自体が独立し、器を離れて一人歩きしているのが特徴といえます。

アートとして発展していくのは良いことだと思いますが、SNSを見ていると、金継ぎをするためにわざと陶器を割る行為を目にするので、複雑な感情になってしまいます。これでは、物を大切にする心とは言えず、単なるアート作品を作るための作業になってしまいます。

金継ぎを深く調べたところで、次は実際に体験してみたくなりました。その前に、本来の金継ぎと、簡易的な現代の金継ぎの違いを把握しておこうと思います。

伝統的な金継ぎと簡易金継ぎの違い

項目 伝統的な金継ぎ 簡易金継ぎ
使う接着剤 天然漆(うるし) エポキシ樹脂・合成接着剤・パテなど
仕上げ 本物の金粉・銀粉・真鍮粉など 真鍮粉・金色顔料・金属粉など
修復期間 数週間~数か月 数時間~数日
難易度 高い(専門技術が必要) 初心者でも始めやすい
価格 道具や材料が高価 比較的安価で始められる
食品への安全性 漆が十分に硬化すれば食器として使用可能 接着剤によっては、食器への使用が推奨されないものもある
おすすめの人 日本文化や伝統工芸を本格的に学びたい人 初めて挑戦する人、ハンドメイドやレジン工作が好きな人
注意点 漆でかぶれるリスクがあるので、事前に対策を認識しておく 食器として使用するなら、食品衛生法に適合した接着剤を使用すること

一言でいうと、

伝統的な金継ぎ:天然素材の漆を使い、時間とお金をかけて仕上げる

簡易金継ぎ:接着剤を使い、安く早く仕上げる

レジンハンドメイドが好きな人は、ピンセットや筆、やすりなど共通する道具や細かな作業に慣れているため、まずは簡易金継ぎから始めるとスムーズに楽しめます。一方、伝統的な金継ぎではUVレジンは使用せず、天然漆ならではの技法を学ぶ必要があります。

おわりに

海外のサイトも確認した結果、世界でどのくらい金継ぎがブームになっているかを実感することができました。個人的にはアートに興味があるので、ネイルアートもいいなと思っています。

今は全国的に金継ぎを体験できる場所があります。まずは、手軽に「金継ぎキット」を購入して、簡易金継ぎを始めてみようとも思いましたが、行ってみたい金継ぎ教室をネットで見つけたので、本格的に始めようと思います。

インバウンドが増加してきてから、茶道・禅・金継ぎなど、日本の伝統文化を体験できる機会がだいぶ増えてきました。これから夏休みに、親子で金継ぎの体験に行くのもおすすめです。

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